「賃貸アパートにネズミが出た。駆除費用は自分で払うの?」「管理会社に連絡したら”自分で対処して”と言われた」——賃貸住宅で害獣被害に遭ったとき、費用を誰が負担するかは最も多いトラブルの一つです。
結論から言うと、原則として建物の害獣駆除費用は大家(賃貸人)の負担です。ただし例外もあります。この記事では、賃貸の害獣駆除における費用負担のルール、管理会社への正しい連絡方法、対応してもらえない場合の対処法、自分で業者を呼ぶ際の注意点まで解説します。
賃貸の害獣駆除は誰が費用を負担する?
| ケース | 費用負担 | 理由 |
|---|---|---|
| 建物の老朽化や構造上の問題で害獣が侵入 | 大家(賃貸人) | 民法606条:賃貸人の修繕義務 |
| 共用部分(天井裏・壁の中・床下)の被害 | 大家(賃貸人) | 建物の管理責任 |
| 入居時から害獣がいた | 大家(賃貸人) | 居住に適した状態で引き渡す義務 |
| 入居者の不注意で害獣を招いた(ゴミ放置等) | 入居者(賃借人) | 善管注意義務違反 |
| 入居者が窓を開けっぱなしにしてコウモリが入った | 入居者(賃借人) | 入居者の管理不足 |
| 契約書に害獣駆除の負担が明記されている | 契約内容に従う | 特約が優先される場合あり |
ポイント:民法606条では「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。害獣の侵入は建物の欠陥(隙間・劣化)が原因であることが多く、大家の修繕義務の範囲と解釈されるのが一般的です。
管理会社・大家への正しい連絡方法
ステップ1:被害の証拠を記録する
害獣のフン、足音がする場所、被害箇所の写真や動画を撮影しておきましょう。証拠があると管理会社の対応がスムーズになります。
ステップ2:管理会社に電話で連絡する
「○○に害獣(ネズミ/ハクビシン等)が出ています。天井裏からの侵入だと思うので、建物側の対応をお願いします」と具体的に伝えます。
ステップ3:書面(メール)でも連絡する
電話だけだと「聞いていない」と言われるリスクがあるため、メールやLINEなど記録が残る方法でも連絡しましょう。日付・内容・対応期限を明記します。
ステップ4:対応期限を確認する
「いつまでに対応してもらえますか?」と明確に聞きましょう。曖昧な返答の場合は「○日までに回答をお願いします」と期限を伝えます。
管理会社が対応してくれない場合の対処法
管理会社に連絡しても「自分で対処してください」と言われたり、対応が遅いケースがあります。その場合の対処法を段階的に解説します。
①再度書面で要請する
「民法606条に基づき修繕を要請します」と記載した書面(内容証明郵便がベスト)を送付します。法的な根拠を示すことで対応が早くなることが多いです。
②自分で業者を手配し、費用を請求する
民法607条の2では、賃貸人が修繕に応じない場合、賃借人が自ら修繕し、その費用を賃貸人に請求できると定められています。ただし以下の条件があります。
・管理会社に修繕を要請し、合理的な期間内に対応されなかったこと
・領収書と作業報告書を必ず保管すること
・事前に「対応がない場合はこちらで手配し費用を請求します」と書面で通知しておくこと
③消費生活センターに相談する
管理会社とのトラブルが解決しない場合は、消費者ホットライン(☎ 188)に相談できます。第三者が間に入ることで解決するケースも多いです。
④家賃の減額を請求する
2020年の民法改正により、賃貸物件が害獣被害で通常の使用ができない場合、家賃の減額を請求する権利が明確化されました(民法611条)。天井裏のネズミの騒音で睡眠できないなど、生活に支障がある場合は減額請求が可能です。
自分で業者を呼ぶ際の注意点
管理会社が対応しない場合に自分で業者を手配する際の注意点です。
①必ず事前に管理会社に通知する
「○日までに対応がない場合、当方で業者を手配し費用を請求します」と書面で通知しておかないと、後から費用を請求できない可能性があります。
②見積書と領収書を必ず保管する
費用を大家に請求する際に必要です。作業内容が明記された見積書・領収書・作業報告書の3点を業者にもらいましょう。
③相場の範囲内の業者に依頼する
相場を大幅に超える費用は大家に認められない可能性があります。2〜3社から見積もりを取り、適正価格で依頼しましょう。
④建物の構造に影響する工事は事前承諾が必要
侵入口の封鎖のために壁に穴を開ける等の工事は、大家の承諾なく行うとトラブルになる場合があります。
賃貸でよくある害獣被害と対応パターン
| 害獣の種類 | よくある発生場所 | 費用の目安 | 負担者 |
|---|---|---|---|
| ネズミ | 天井裏、壁の中、キッチン | 2万〜15万円 | 原則:大家 |
| ゴキブリ | キッチン、浴室、排水口 | 1万〜3万円 | ケースバイケース |
| コウモリ | 天井裏、換気口 | 2万〜15万円 | 原則:大家 |
| ハクビシン | 天井裏 | 8万〜25万円 | 原則:大家 |
| シロアリ | 床下、柱 | 15万〜30万円 | 原則:大家 |
| ハチ | ベランダ、軒下 | 1万〜5万円 | 共用部は大家、専有部はケースバイケース |
ゴキブリは判断が分かれやすい害虫です。建物全体で発生している場合は大家の責任ですが、入居者の衛生管理(ゴミ放置等)が原因の場合は入居者負担になるケースもあります。
賃貸契約書の確認ポイント
入居前・入居後に関わらず、賃貸契約書の以下の項目を確認してください。
①修繕に関する条項
「小修繕は入居者負担」と記載されている場合、害獣駆除が「小修繕」に含まれるか確認します。一般的に害獣駆除は小修繕には含まれません。
②害虫・害獣に関する特約
「害虫駆除は入居者負担」という特約がある場合があります。ただし、建物の構造的な問題が原因の害獣被害まで入居者に負担させる特約は、消費者契約法により無効になる可能性があります。
③原状回復に関する条項
退去時に害獣被害の修繕費を請求されるケースがあります。入居者の不注意でない場合は、原状回復義務の対象外です。
よくある質問
Q:管理会社に連絡したら「自分で業者を呼んで」と言われた。従うべき?
A:建物の構造が原因の害獣被害は大家の責任です。「管理者として対応をお願いします。対応いただけない場合は民法606条に基づき費用を請求します」と書面で伝えましょう。
Q:退去時に害獣被害の修繕費を請求された。払うべき?
A:入居者の不注意が原因でなければ支払う必要はありません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、経年劣化による損耗は賃借人の負担ではないと明記されています。
Q:害獣被害を理由に引っ越したい。費用は請求できる?
A:害獣被害が居住に耐えられないレベルで、大家が合理的な期間内に対応しなかった場合、引っ越し費用の一部を請求できる可能性があります。弁護士に相談してください。
Q:分譲マンションの場合はどうなる?
A:専有部分(自室内)は区分所有者(自分)が負担、共用部分(天井裏の配管スペース等)は管理組合が負担するのが原則です。管理組合に相談してください。
まとめ
賃貸住宅の害獣駆除は原則として大家(賃貸人)の負担です。管理会社には①証拠写真を撮って②電話+書面で連絡し③対応期限を確認しましょう。対応してもらえない場合は、書面で通知した上で自分で業者を手配し、費用を請求することも可能です。
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